浴 室 | ||||||
入浴の際に課題となるのは、浴槽の出入りと立ち座りの動作、洗髪や身体を洗う動作です。 | ||
<手すりの設置> 手すりをどこにつけるかは、人によって様々です。浴室内の動作を確認して取り付けましょう。 1.浴室の入口付近の手すり ① 入り口に段差がある場合、入り口の近いところに、浴室出入り用縦手すりを取り付けることで、安全に段差を越えることができます。 | ||
2.洗い場の手すり ② ③ ④ 洗い場は滑りやすいため、洗い場の移動やシャワーチェアからの立ち上がりなどに、手すりを取り付ける場合があります。 | ||
シャワーヘッドの固定バーを兼ねた縦手すり | ||||
浴室の手すりレイアウト例 | ||||
3.浴槽の出入りのための手すり ④ ⑤ ⑥ 浴槽への出入りは、体の状態によって「浴槽を跨ぐ」、「バスボード等の縁に座って入る」、「リフトを利用する」などが考えられます。 | ||
右足から浴槽に入り、右足から出る方の浴室の例 | ||
浴槽を跨ぐことが難しい場合はバスボードなどの縁に座って浴槽内に足を入れる方法が良いです。 | ||
ベンチを設けた例 | ||||||
バスボードと浴室内いす | ||
4.お湯につかる、お湯から立ち上がるための手すり ⑥ お湯につかったり、お湯から立ち上がる場合、縁をつかむこともありますが、浴槽の奥に、L型手すりがあるとより安全になります。 | ||
入浴時の動作 | ||
<浴槽> 膝、股関節が動きにくい人は、お湯から立ち上がる動作が難しいため、浴槽での入浴をあきらめ、シャワー浴で済ませている場合が少なくありません。 1.深さ 現在一般的になっている和洋折衷浴槽の深さは50cm程度(深めの浴槽で55cm)ですが、リウマチ患者さんにとって、立ち上がる際に十分な浮力を得るため、できるだけ深いものを選びましょう。 かつて一般的だった和式浴槽は深さが60cm程度あるので、立ち上がりには十分な浮力が得られますが、浴槽が小さく足が伸ばせないため膝が曲がりにくい人には向いていません。また、縁が高いため出入りの際には困難が伴います。 | ||
2.またぎ高さ 浴槽の深さを深くすれば当然またぎ高さが高くなりますが、特に洗い場からの高さは、跨ぐ場合は40cmから45cm、いったんバスボードなど縁に座ってから入る場合には45cmから50cm程度で考えると良いでしょう。 | ||
またぎ高さと浴槽の深さの段差が10cm以上あると身体が不安定になります。 | ||
3.大きさ 和洋折衷浴槽でも、ゆったり寝そべって湯につかれるように浴槽が長いものがありますが、浴槽が長いとお湯につかったときに足が届かなかったり、足が浮いたりして危険な場合もありますので、自分に合ったものを選びましょう。 | ||
<段差の解消> 水が脱衣室へ入るのを防ぐため、浴室の床が脱衣室より低くなっている場合が多いですが、段差の解消には大きな改修が必要になるので、スノコを設置して解消する方法があります。 | ||
スノコの事例 | ||
<出入口の戸> 引き戸か折れ戸、一番は引き戸がお薦めです。開口の幅は80cm程度あると良いでしょう。 | ||
浴室引戸 | 内開きの開き戸 | |||
<広さの確保> 洗い場が広すぎると移動距離が長くなりますが、シャワーチェアを置くスペースや介助が必要になった場合には、介助者が動ける広さが必要になります。1.25坪程度あると理想的です。 | ||
<リフト> 浴槽を跨いだり、縁に座って入ることができなかったり、湯につかる、湯から立ち上がることが難しい場合にはリフトが効果を発揮します。 | ||
リフト(いす式) | リフト(スリングシート) | |||
バスリフト 手元スイッチで操作します。 | ||
<床> リウマチ患者さんは、足指の変形や亜脱臼、足裏のタコなどにより、裸足で歩くのが不安定で、また、痛みを伴うため、床は滑りにくく硬すぎない方が良いでしょう。また、浴槽の底に滑り止めマットを敷くと浴槽の出入りや浴槽内で身体が安定します。 | ||
浴槽の底に敷いた、滑り止めマット | ||
<暖房> 浴室は北側にあることが多いため、特に冬場の寒さがつらいです。 | ||
浴室暖房機 | ||
<その他> 水栓金具の形状は指先に負担がかからず軽い力で操作できるレバー式やタッチ式のものが良いでしょう。また、シャワーヘッドの軽さも重要です。 | ||
レバー式水栓金具 | ||||
タッチ式水栓金具 | ||||
押しボタン式の浴槽排水栓 | |||||||||||
シャワーヘッドのボタンで出し止めできるタイプも便利です。 | |||||||||||